糸
2008年10月09日
http://jp.youtube.com/watch?v=KCjYzmhXFcE
なぜめぐり逢うのかを
私たちはなにも知らない
いつめぐり逢うのかを
私たちはいつも知らない
どこにいたの生きてきたの
遠い空の下ふたつの物語
縦の糸はあなた横の糸は私
織りなす布はいつか誰かを
暖めうるかもしれない
なぜ生きてゆくのかを
迷った日の跡のささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡のささくれ
こんな糸がなんになるの
心許なくてふるえてた風の中
縦の糸はあなた横の糸は私
織りなす布はいつか誰かの
傷をかばうかもしれない
縦の糸はあなた横の糸は私
逢うべき糸に出会えることを
人は仕合わせと呼びます
作詞・作曲 中島みゆき
腸閉塞という病気にかかり、
手術をしました。
手術を受けるまでの状態が
あまりに辛くて、苦しくて、
生まれてからはじめて親の前で弱音を吐きました。
母親は泣いていました。
父親は私のことがみれませんでした。
あまり状態がよくなかったので、
入院中は、リカバリールームという
ICUの一歩手前の部屋で過ごしていました。
リカバリールームではテレビもみれないし、
ひたすら心電図や酸素なんかの機械の音に囲まれて、
過ごさないといけません。
私の主治医は、
時間が空けば様子をみにきてくれました。
朝6時にくるときもあれば、
夜10時にのそっとくるときも。
一体どんな勤務形態なんだ?と。
大学病院の医者って、
こんな親身なんや。。。
と、いい意味で裏切られた気分。
あるとき、
『こんなことあんまり患者さんには直接言わないんやけど、
手術をするか本気で悩んでいる。』
と、死のリスクや細かいところを聞かされ、
私はどうしようもない不安と恐怖を感じました。
そして、
何のやる気もおこらない
笑顔のない私のところにきて、
『なんちゅう顔しとんねん!
そんなんじゃリハビリの仕事失格やなぁ~。
暇やろうしこれ貸したるわ』
とipodを貸してくれました。
『もう持ってるから大丈夫です』
と断ろうとすると、
『ちゃうねん、これ聞いてみ。中に1曲しか入ってへんけどな』
と。
そのたった1曲が、
中島みゆきの『糸』でした。
ミスチルの桜井さんがBank Bandとして唄ってるのを何度か聞いたことがありましたが、
オリジナルが中島みゆきだとは知りませんでした。
ひとりでその曲を聴いて、
なぜか、無性に、
勇気がでました。
こんなとこで泣いてる場合ちゃうわ!と。
翌朝、先生がきて、
『ええ曲やろ?僕が手術する前にいっつもこれ聞くねん。ほなら、なんでか落ち着くねん。』
『しんどいときこそ笑っときやぁ~』
私は内心、
『なんやこのオッサン!』って思いつつも、
先生の顔をみると安心するし、
勇気をもらえるし、
なにせ、信頼できると心底感じました。
先生は、
『君の将来を考えると開腹での手術はしたないんや。』と。
でも、私からしたら、
『もうそんなん関係ないです。こんな状態苦しすぎるからはやくお腹開いてください。』
そんなやりとりが続く中で、
私のところにきた先生は、
『手術しよか。はじめは腹腔鏡でやってみるわ。それでもあかんかったら、ごめんやけど、お腹開くわな。』
と。
手術前、先生は部屋まで迎えにきてくれました。
『執刀医が病室まで迎えにくることなんてあるんですか?』
と、私がきくと、
ipod返してもらいにきたんやんか。
と。
もう、不安はまったくなくなりました。
手術が終わると、
無理やりに麻酔が解かれます。
ドラマの1シーンのように、
もうろうとした意識から徐々に目の前の世界が明るくなっていきます。
先生はとてつもなく大きな声で、
『ビキニ着れるようにしといたからな!』と、耳元で言っていました。
なんて粋なセリフを・・・
こんなドクター、はじめてです。
でも、
ipodになんでたった1曲しか入ってないんやろ。。。
相当『糸』が好きなんかな。。。
と、気になって聞いてみると、
『入れ方がわからない』と。笑
腹腔鏡の難しい手術はできても、
ipodに2曲目を入れることは、できないんですね。。。
人間て、ほんとに、不思議なもんです。
今回の入院生活で、
またひとつ、
新たな人間の本質というのか、
『人間くさいところ』を
肌で感じて、
命の重みを
ひしひしと感じることができました。
素敵な出逢いを経験できた私は本当に運がいい。
私のお腹の傷をつなぐ『糸』は、
お腹の中で溶けて、
やがて、
身体の傷をかばい、
心を暖めてくれることでしょう。

なぜめぐり逢うのかを
私たちはなにも知らない
いつめぐり逢うのかを
私たちはいつも知らない
どこにいたの生きてきたの
遠い空の下ふたつの物語
縦の糸はあなた横の糸は私
織りなす布はいつか誰かを
暖めうるかもしれない
なぜ生きてゆくのかを
迷った日の跡のささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡のささくれ
こんな糸がなんになるの
心許なくてふるえてた風の中
縦の糸はあなた横の糸は私
織りなす布はいつか誰かの
傷をかばうかもしれない
縦の糸はあなた横の糸は私
逢うべき糸に出会えることを
人は仕合わせと呼びます
作詞・作曲 中島みゆき
腸閉塞という病気にかかり、
手術をしました。
手術を受けるまでの状態が
あまりに辛くて、苦しくて、
生まれてからはじめて親の前で弱音を吐きました。
母親は泣いていました。
父親は私のことがみれませんでした。
あまり状態がよくなかったので、
入院中は、リカバリールームという
ICUの一歩手前の部屋で過ごしていました。
リカバリールームではテレビもみれないし、
ひたすら心電図や酸素なんかの機械の音に囲まれて、
過ごさないといけません。
私の主治医は、
時間が空けば様子をみにきてくれました。
朝6時にくるときもあれば、
夜10時にのそっとくるときも。
一体どんな勤務形態なんだ?と。
大学病院の医者って、
こんな親身なんや。。。
と、いい意味で裏切られた気分。
あるとき、
『こんなことあんまり患者さんには直接言わないんやけど、
手術をするか本気で悩んでいる。』
と、死のリスクや細かいところを聞かされ、
私はどうしようもない不安と恐怖を感じました。
そして、
何のやる気もおこらない
笑顔のない私のところにきて、
『なんちゅう顔しとんねん!
そんなんじゃリハビリの仕事失格やなぁ~。
暇やろうしこれ貸したるわ』
とipodを貸してくれました。
『もう持ってるから大丈夫です』
と断ろうとすると、
『ちゃうねん、これ聞いてみ。中に1曲しか入ってへんけどな』
と。
そのたった1曲が、
中島みゆきの『糸』でした。
ミスチルの桜井さんがBank Bandとして唄ってるのを何度か聞いたことがありましたが、
オリジナルが中島みゆきだとは知りませんでした。
ひとりでその曲を聴いて、
なぜか、無性に、
勇気がでました。
こんなとこで泣いてる場合ちゃうわ!と。
翌朝、先生がきて、
『ええ曲やろ?僕が手術する前にいっつもこれ聞くねん。ほなら、なんでか落ち着くねん。』
『しんどいときこそ笑っときやぁ~』
私は内心、
『なんやこのオッサン!』って思いつつも、
先生の顔をみると安心するし、
勇気をもらえるし、
なにせ、信頼できると心底感じました。
先生は、
『君の将来を考えると開腹での手術はしたないんや。』と。
でも、私からしたら、
『もうそんなん関係ないです。こんな状態苦しすぎるからはやくお腹開いてください。』
そんなやりとりが続く中で、
私のところにきた先生は、
『手術しよか。はじめは腹腔鏡でやってみるわ。それでもあかんかったら、ごめんやけど、お腹開くわな。』
と。
手術前、先生は部屋まで迎えにきてくれました。
『執刀医が病室まで迎えにくることなんてあるんですか?』
と、私がきくと、
ipod返してもらいにきたんやんか。
と。
もう、不安はまったくなくなりました。
手術が終わると、
無理やりに麻酔が解かれます。
ドラマの1シーンのように、
もうろうとした意識から徐々に目の前の世界が明るくなっていきます。
先生はとてつもなく大きな声で、
『ビキニ着れるようにしといたからな!』と、耳元で言っていました。
なんて粋なセリフを・・・
こんなドクター、はじめてです。
でも、
ipodになんでたった1曲しか入ってないんやろ。。。
相当『糸』が好きなんかな。。。
と、気になって聞いてみると、
『入れ方がわからない』と。笑
腹腔鏡の難しい手術はできても、
ipodに2曲目を入れることは、できないんですね。。。
人間て、ほんとに、不思議なもんです。
今回の入院生活で、
またひとつ、
新たな人間の本質というのか、
『人間くさいところ』を
肌で感じて、
命の重みを
ひしひしと感じることができました。
素敵な出逢いを経験できた私は本当に運がいい。
私のお腹の傷をつなぐ『糸』は、
お腹の中で溶けて、
やがて、
身体の傷をかばい、
心を暖めてくれることでしょう。
Posted by りょーこ at 12:44│Comments(4)
│MEDICAL
◆ この記事へのコメント
スーパードクターに逢えてよかったね(^o^)
ドクターの技術より、内面のサポートの仕方が格好良すぎる!
俺もそんな“人間”目指します☆
ドクターの技術より、内面のサポートの仕方が格好良すぎる!
俺もそんな“人間”目指します☆
Posted by にーさん。 at 2008年10月10日 03:36
にーさん。
私も、
そんな人間目指します!!
人間はどうあるべきか、
ほんとに大切なことを
教えられました^^
病気なってよかったです^^
私も、
そんな人間目指します!!
人間はどうあるべきか、
ほんとに大切なことを
教えられました^^
病気なってよかったです^^
Posted by りょーこ at 2008年10月10日 18:03
何度も記事を読んで涙しました…。
つらかったんだねぇ
私も何度も苦しい思いをしました。そんな時はなかなかポジティブになれませんでした。
でもこうしてまた
りょーこちゃんのブログを見る事が出来、うれしく思います
腹腔鏡手術って傷が小さくて済むんですよね? 最近、TVのドキュメントを観たんです。まさかりょーこちゃんがそんな状態だと思ってもみなかったのでびっくりです。
素敵な先生に巡り会えてよかったですね
仕事、無理せずに
つらかったんだねぇ

私も何度も苦しい思いをしました。そんな時はなかなかポジティブになれませんでした。
でもこうしてまた
りょーこちゃんのブログを見る事が出来、うれしく思います

腹腔鏡手術って傷が小さくて済むんですよね? 最近、TVのドキュメントを観たんです。まさかりょーこちゃんがそんな状態だと思ってもみなかったのでびっくりです。
素敵な先生に巡り会えてよかったですね

仕事、無理せずに

Posted by Hanna at 2008年10月11日 00:38
>Hannaさん
返事遅くなってすいません!
今じゃもうすっかり元気です。
健康で何の痛みや辛さもなく生活できることがこんなにも楽しいことか…と♪
また大阪に元気な姿をお見せしにいきますね!!!
返事遅くなってすいません!
今じゃもうすっかり元気です。
健康で何の痛みや辛さもなく生活できることがこんなにも楽しいことか…と♪
また大阪に元気な姿をお見せしにいきますね!!!
Posted by りょーこ at 2008年10月23日 05:25