悔いること
『くそったれぇ!!!』
と、
心から想うような、悔しいことが起こった。
仕事でのこと。
私たちの病院では、
一人の患者さんをチームで担当する。
一人の患者さんに対して、
医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士のチームで。
患者さんが入院してきたその日に、
それぞれが評価をして、
判断して、
その人の活動度(安静度)というのを決める。
もちろん最高責任は医師にある。
だから、何を決めるにも、医師の許可が必要。
ある日、救急病院から転院してきた患者さんを担当することになった。
1ヶ月以上も意識不明で、ようやく回復してきたが、
身体の方はかなり重症・・・
身体だけでなく、精神的にも不安定で、
危険な行動が多いとの情報が前の病院からのデータである。
でも、
実際に患者さんを評価していくと、
危険のきの字も当てはまらないほど穏やかで、
前のデータは嘘のように思えるほどだった。
危険行動とは、たとえば、
鼻のチューブを自分で引き抜いたり、
点滴台を倒したり、
歩けないし座れないのに、それをやろうとしたり・・・
命に危険を及ぼす行動を自分でコントロールできなこと。
だから、病院側としては、
それなりに患者さんを抑制しないといけない。
何かで縛ったり、手にミトンをつけたり・・・
本当はやりたくないけれど・・・
その患者さんも、
入院当日の夕方まではほんとに大人しかった。
チームでの活動度を決める会議が始まり、
そこまで抑制しなくても大丈夫なんじゃないか・・・
いや、でも、前の病院であれだけ抑制されているからやはり抑制が必要なんじゃないか・・・
そして、
医師の独断で、抑制ゼロの活動度に決まってしまった。
私がそこで一言口出しすればよかったのだが、、、
医師の圧力に負けてしまった。。。
その日は、忙しく、
私は夜7時ころにナースステーションでカルテを書いていた。
すると、『ドン!』と音が聞こえた。
その患者さんの部屋だ。
駆けつけると、ベッドの横に倒れていた。
『やってしまった・・・』
この患者さん、ナースコールを押せないし、自分の言葉も話せない。
きっと、何かをしたくて起き上がったんだと想う。
でも、一人じゃ座れないからそのままベッドの下へ落ちてしまったんだろう・・
幸い何の怪我もなく。
だったが、
本当に悔しくて、情けなかった。
患者さんの身を守れなかった。
落ち込んでいる場合ではなく、
次に活かさないといけない。
その患者さんは、
きっと今も大暴れしている。
でも、その気持ちを汲み取ってあげないといけない。
きっと、大暴れするには何か理由があるはず。
何かを訴えたいはず。
それが、私たちにできる一番大切なことだな。
と、想う日々であります。
北海道 小樽運河にて
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